移転価格ツール:イギリス | ciferi
イギリスは、 2010年租税国際条項法(TIOPA 2010)第4部 によって移転価格ルールを適用する主要なOECD加盟国である。TIOPA 2010は、独立企業間価格原則(アームズレングス原則)を実装しており、イギリス歳入関税庁(HMRC)がこれを運用する。日本の公認会計士がイギリス関連会社の監査に従...
イギリスにおける移転価格規制の概要
イギリスは、2010年租税国際条項法(TIOPA 2010)第4部によって移転価格ルールを適用する主要なOECD加盟国である。TIOPA 2010は、独立企業間価格原則(アームズレングス原則)を実装しており、イギリス歳入関税庁(HMRC)がこれを運用する。日本の公認会計士がイギリス関連会社の監査に従事する場合、HMRC の実務指針とOECD移転価格ガイドラインの関係を理解することが重要である。
イギリスの移転価格ルールは、全ての国境を越えた関連者間取引に適用される。取引の時価が移転価格による計算結果と異なる場合、HMRC は調整を求める可能性がある。特に注目すべき点は、イギリスは国内取引にも移転価格ルールを適用することがあるということ(例えば、一方の当事者が税上の利益を享受する場合)。HMRC は OECD ガイドラインに厳密に従い、四分位範囲方法論(25パーセンタイル〜75パーセンタイル)から逸脱しない。
文書化要件と期限
イギリスには、独立した移転価格文書化要件を持つ罰則規定がない。代わりに、HMRC は企業が移転価格がアームズレングスであることを示すために十分な記録を維持していることを期待する。実務上、中堅以上の企業は、税務申告書を提出する時点で移転価格文書を整備する必要がある(事後的にではなく)。
イギリスは OECD の多国籍企業スキーム報告(Country-by-Country Reporting)要件を採択している。グループの連結売上高が7億5,000万ユーロを超える場合、マスターファイルおよびローカルファイルを OECD 第5章のガイダンスに従って作成することが推奨される。ただし、OECD が指定する形式での別個の文書作成が法定要件ではない点が、ドイツやフランスとは異なる。
HMRC の監査トリガーと重点分野
HMRC は以下の取引パターンに対して移転価格監査をよく開始する。
特に注目すべきは、イギリスの転換利益税(Diverted Profits Tax, DPT)である。DPT は 25~31% の税率で、経済実質を欠くか、移転価格がアームズレングスでない取引を対象としている。DPT は標準法人税率を上回る実効税率を創出し、アームズレングス移転価格を遵守するインセンティブを強化する。
- 税務申告書に可視化された重大な関連者間取引
- 多国籍企業スキーム報告データと現地法人利益の矛盾
- グループ全体が利益を上げているのに UK 法人が継続的に赤字
- 商業的正当化がない利益率の急激な変化
- UK への知的財産の移転または UK からの移転
- 市場相場と大きく異なる利率の関連者間融資取引