Definition

本音を言うと、関連当事者リストを経営者から受け取って、それで終わりにしている調書を何度も見てきた。ISA 550.18違反は、検査で最も多く報告される指摘の1つ。経営者の意思や取引の外観に頼ってリストを鵜呑みにすることは、手続をやったことにはならない。循環取引が絡むケースだと、リスト外の関連当事者が売上の一部を吸収しているパターンが何年もスルーされていたりする。

仕組み

ISA 550は、被監査会社の関連当事者を特定し、その取引がIFRSまたは適用されるGAAPに従って開示されているかを評価するよう求めている。この評価は監査を通じた複数の段階で実施される。

計画段階で、ISA 315.30(f)に基づき関連当事者に関する情報を要求する。経営者から関連当事者の完全なリストを得ることが含まれるのだが、現場では初期リストが不完全であることが多い。取引データの分析、特に異常な仕訳や通常の営業活動と合致しない金額を検討する作業がここで効いてくる。

実施段階ではISA 550.17から20が走る。重要な取引については対方の関連当事者ステータスを直接確認する。関連当事者取引に関連する契約書や合意書を読み込む。期末後取引もレビューし、隠れた関連当事者取引がないかを検討する。期末後取引は特に重い。期末の直前に関連当事者から金銭を借り入れ、期末後に返済するといった操作が成立する余地があるからだ。

開示の評価はISA 550.21から22に記載されている。経営者の意思や取引の経済的実質ではなく、法的支配構造によって関連当事者かどうかが決まる。被監査会社がある団体を支配していなくても支配権を有していれば、その団体は関連当事者である。支配権の判定はIFRS 10 支配の要件に従う。

実例:Moretti Costruzioni S.p.A.

クライアント:イタリアの建設会社、FY2024、売上€28M、IFRS報告。

ステップ1 - 関連当事者の識別

経営者から関連当事者リストを要求した。リストには親会社M&C Holding S.p.A.および3つの子会社が含まれていた。分析段階で、売上記録の中に「Innovatech Srl」との取引を発見。€1.2Mの研究開発役務が提供されていた。

文書化ノート:関連当事者リストの確認。リスト外の取引の詳細を記録。

ステップ2 - 支配権の判定

経営者にInnovatechについて質問したところ、Moretti社はInnovatechの90%の株式を保有していると判明。IFRS 10に基づき、90%以上の所有は控除権のない支配権を示す。Innovatechは関連当事者である。経営者のしぶしぶとした返答は、関連当事者でないことの根拠にはならない。

文書化ノート:IFRS 10に基づく支配権の評価。90%所有 = 控除権のない支配権。関連当事者として分類。

ステップ3 - 期末後取引のレビュー

期末後2ヶ月間の銀行取引をレビューした。Moretti社はM&C Holdingから€4.5Mの短期貸付を受け取り、1ヶ月後に返済していた。この取引は取引記録に記載されていない。期末での支払能力の見かけ上の改善は、実際には親会社からの一時的な融資による操作だった。

文書化ノート:期末後取引分析。隠れた親会社融資を検出。開示を指示。

ステップ4 - 開示の評価

IFRS 24に従い、Moretti社は親会社との関係、Innovatechとの売上取引€1.2M、短期貸付€4.5Mと返済条件を開示する必要があった。初期のドラフト財務諸表はInnovatechを開示していない。修正を指示した。

文書化ノート:IFRS 24.9に基づく開示の評価。開示要件を確認。修正指示。

結論

関連当事者は売上取引と期末後融資を隠そうとする強いインセンティブを持つ。経営者からのリストだけに依拠することはISA 550.18違反。分析的手続と期末後取引のレビューを抜くと、後で審査でやられる。

査察者と実務家が誤解する点

ISA 550.18違反は最も多く報告される検査指摘の1つで、関連当事者リストの取得だけで妥当性をテストしていない事例が中心となる。リストを鵜呑みにすることは手続ではない。経営者の意思や取引の外観ではなく、支配構造と法的関係に基づいて関連当事者を識別する必要がある。

支配権の判定がIFRS 10に従うことを忘れている調書もよく見かける。「関連当事者と思われない」「実質的には独立している」といった経営者の意見では足りない。IFRS 10の支配の定義(投資者が支配対象の活動を指示する力を持つこと)に基づく判定が要る。その結果として支配が存在しないという結論が出ることは稀。

期末後取引をテストしないパターンも根深い。ISA 550.19は期末後取引のレビューを明示的に求めている。期末直前の関連当事者資金調達や期末直後の返済は、隠れた期末での支払能力問題を示唆するシグナル。時間予算の関係で、ここまでやらない事務所が多いのも現実だが、循環取引の検出はこの領域でしか起きない。

関連用語

IFRS 10 支配: 投資者がいつ子会社を支配していると判定されるかを定める。関連当事者の識別はこの判定に依存する。

IFRS 24 関連当事者取引の開示: 関連当事者取引と残高の開示要件を定める。ISA 550と連携して機能する。

支配権のない支配権: 50%以上の所有が常に支配を意味するわけではない場合。支配権のない支配権は関連当事者関係を示す。

実質基準対形式基準: 関連当事者の判定では、法的支配構造(形式)が経営者の意図(実質)を優先する。

期末後イベント: 期末後取引は隠れた関連当事者操作を示唆することがある。ISA 560と併せて検討。

リスク評価手続: 関連当事者の特定はリスク評価手続の一部である。ISA 315と連携。

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