重要なポイント

  • グループ監査チームはグループ監査事務所に所属する
  • 構成単位監査人は同一ネットワーク所属でもチームの一員ではない
  • 改訂版はグループ全体の直接的リスク評価責任を強化した
  • 完了段階でのギャップは追加作業の要請か直接手続で埋める(ISA 600改訂版.44)

仕組み

グループ監査チームはグループ監査の中核に位置します。ISA 600(改訂版).16は、グループ財務諸表の重要な虚偽表示リスクを識別・評価するのに十分なグループとその構成単位の理解を得るよう要求している。この理解がスコーピング判断の全てを駆動する。どの構成単位に対象を絞った手続が必要か、構成単位の重要性基準値をいくらに設定するか、どの構成単位監査人を関与させるか、グループ監査指示書をどのような形式にするか。

チームの責任は計画段階で終わらない。ISA 600(改訂版).40は、業務の開始時に指示書を発行するだけでなく、業務を通じて構成単位監査人と継続的にコミュニケーションするよう要求している。完了段階では、構成単位監査人の作業とチーム自身が連結に対して直接実施した作業を合わせ、グループ監査意見のための十分かつ適切な監査証拠が得られたか評価する。ギャップがあれば構成単位監査人に追加作業を依頼するか、チーム自身で追加手続を実施する。

実務例:Ferreira Logistics S.A.

クライアント:ポルトガルの物流グループ、FY2024、連結売上高EUR 60M、IFRS適用企業。ポルトガルに営業子会社2社、スペインに1社。

グループ監査戦略の策定

リスボンのグループ監査チーム(パートナー1名、シニア2名)は、3構成単位の収益認識を主要リスク領域として識別。スペイン子会社は連結売上高の35%(EUR 21M)を占め、ポルトガル2社とは別の会計システムを使用している。

構成単位の重要性基準値の決定

グループの重要性基準値をEUR 600K(売上高の1%)に設定。スペイン子会社の構成単位重要性はEUR 360K(グループの60%)。ポルトガル2社はグループ監査チームが直接監査するため、合算でEUR 420K(グループの70%)とする。

スペインの構成単位監査人とのコミュニケーション

リスク領域、構成単位の重要性基準値、報告期限、コミュニケーション形式を記載した指示書を発行。計画段階のコールで内部取引の価格設定リスクを協議する。

完了段階での評価

スペインの構成単位監査人の報告を査閲し、内部取引収益のカットオフに関する未修正虚偽表示EUR 45Kを識別。グループレベルの指摘と合算し、未修正虚偽表示合計EUR 127K。グループの重要性基準値EUR 600Kを下回る。

結論:グループ監査チームの文書化された関与は計画から完了まで及び、戦略的判断と構成単位作業の評価の両方を網羅している。指示書の発行だけで計画コールや完了査閲を省略していれば、ファイルは十分な関与を示すことができない。

よくある誤解

  • チームの役割を事務的と捉え実質的関与を怠る 指示書を送り報告書を受領するだけでは不十分。ISA 600(改訂版).42は構成単位監査人の作業が十分であるかの評価を要求する。報告書をファイルすることは評価ではない。
  • 構成単位監査人をチームの一員と誤認する ISA 600(改訂版).14(i)はグループ監査チームをグループ監査事務所のパートナーと職員として定義する。同一ネットワークファーム所属でも構成単位監査人はチームの一員ではない。
  • 小規模グループ監査でチーム役割と構成単位監査役割を混同 グループレベルのリスク評価と重要性基準値の決定はグループ監査チームの責任。構成単位レベルの作業と混在させるとファイル構造が不明確になる。
  • 継続的コミュニケーションを怠る ISA 600(改訂版).40は業務全体を通じた双方向のコミュニケーションを要求している。開始時の指示書発行だけでは基準を満たさない。

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