関連会社間取引の消去ツール:日本 | ciferi

日本の企業グループが連結財務諸表を作成する際、関連会社間の全ての取引、残高、収益、費用は監査基準報告書1050号(IFRS 10に対応)に準拠して消去しなければならない。このツールは、関連会社間の売掛金・買掛金を特定し、マッチングし、消去仕訳を自動生成する。

概要

日本の企業グループが連結財務諸表を作成する際、関連会社間の全ての取引、残高、収益、費用は監査基準報告書1050号(IFRS 10に対応)に準拠して消去しなければならない。このツールは、関連会社間の売掛金・買掛金を特定し、マッチングし、消去仕訳を自動生成する。

監査基準報告書1050号の要件

監基報1050「連結財務諸表」は、子会社を支配している親会社に対し、以下の関連会社間項目の完全な消去を求めている。
消去はグループ内全ての取引に適用される。例外はない。売上原価と販売費及び一般管理費は全て消去される。子会社の親会社への配当金と親会社の受け取り配当金は互いに消去される。

  • 関連会社間の資産と負債
  • 連結会社間の所有権
  • 関連会社間の収益と費用
  • 関連会社間のキャッシュフロー

実務の現状

金融庁は公認会計士・監査審査会を通じた検査プログラムにおいて、グループ監査の品質に着目している。特に関連会社間の消去に関しては、以下の点が指摘されている。

  • クライアント提供の関連会社間残高スケジュールをそのまま受け入れ、独立した確認を行わないケース
  • 関連会社間の差異(タイミング差異として説明されているもの)をテストせずに受け入れるケース
  • 消去が必要な項目の母集団が完全であるかどうかを検証しないケース
  • 期末時点で保有されている関連会社間販売商品の含み益を計算しないケース

関連会社間取引の主な種類

販売と購買
グループ内の販売取引は最も一般的な関連会社間項目である。親会社が商品を仕入れ、子会社に販売する。その子会社がさらに流通子会社に販売する。各段階で利益が上乗せされる。期末に子会社の在庫に残っている商品は、関連会社間の利益を含んでいる。
管理費の負担
親会社が情報システム、人事、経理機能を一元管理し、子会社に管理費を請求する場合がある。請求額と支払額が一致することはほぼない。原因は、請求は推定額で行われるが、決算後に実績が判明するからである。
関連会社間ローン
子会社が設備投資のため親会社からローンを受ける。利息は毎期計上される。ローン残高と利息費用・利息収入は消去される。
配当金
子会社が利益から親会社に配当を支払う。配当金受取は親会社のその他の収益、あるいは投資関連収益として計上される。消去される。

ツール使用の流れ

ステップ1:グループ構造の確認


まず、グループ内の全ての法人を特定する。通常、日本のグループは以下のような構成である。

ステップ2:関連会社間残高マトリクスの取得


クライアントから以下の資料を要求する。
関連会社間残高一覧表は、法人A-法人B間の売掛金と法人B-法人A間の買掛金を並記したマトリクス形式が最も有用である。

ステップ3:マッチング


このツールは、各関連会社間の売掛金と買掛金が一致するか確認する。一致しない場合、その原因を分類する。
タイミング差異
最も一般的な不一致の原因である。12月29日に親会社から出荷された商品は、親会社の帳簿では12月に売上として計上される。しかし、受け取った子会社の帳簿では1月に買掛金として計上されている可能性がある。この場合、両社の帳簿を12月31日時点の経済的実質に合わせるため、親会社の売掛金と子会社の買掛金を調整する。
為替差異
関連会社間ローンや取引が外貨建ての場合、期末レートでの換算により為替差益または為替差損が生じる。一方が利益として認識し、他方が費用として認識することになる。
誤記
請求額と支払額が異なるケースもある。請求時に誤った金額が計上された、または請求後に取引がキャンセルされたが片側だけ記録されたという場合である。

ステップ4:含み益の計算


関連会社間で販売された商品で、期末に買い手のグループに残っている在庫は、売り手の利益を含んでいる。この利益は消去される。
計算式は以下の通り。
在庫残高(関連会社間仕入分)×(1 ÷(1 + 売上原価率))
または
在庫残高(関連会社間仕入分)×(売上利益率)
例として、東海製作所株式会社(製造子会社)が関西物流株式会社(販売子会社)に商品を販売している状況を考える。東海製作所の売上原価は1ユニットあたり400万円。販売マークアップ(売上原価ベース)は25%である。したがって、関西物流の仕入額は500万円となる。
期末時点で、関西物流がこの商品を100ユニット保有している場合、含み益は次の通り。
含み益 = 100ユニット × 500万円 × 0.25 ÷(1 + 0.25)
含み益 = 100ユニット × 500万円 × 0.20
含み益 = 1億円
この1億円は連結利益から控除され、連結在庫から控除される。

ステップ5:消去仕訳の生成


ツールは以下の仕訳を自動生成する。
関連会社間売掛金を消去する仕訳:
```
借方:関連会社間買掛金 xxxx万円
貸方:関連会社間売掛金 xxxx万円
```
関連会社間収益と費用を消去する仕訳:
```
借方:関連会社間販売収益 xxxx万円
貸方:関連会社間販売原価 xxxx万円
```
含み益を消去する仕訳:
```
借方:売上原価 xxxx万円
貸方:在庫 xxxx万円
```

  • 親会社(通常、持株会社または事業会社)
  • 製造子会社
  • 販売・流通子会社
  • サービス子会社(情報システム、人事、経理等の共有機能)
  • 所有割合が100%でない場合、少数株主を特定する
  • 関連会社間取引一覧表(期間中の全ての取引)
  • 関連会社間残高一覧表(期末時点で存在する受取金、支払金)
  • 各法人の前年度と当期の残高

金融庁の監査品質に対する期待

公認会計士・監査審査会の検査報告では、関連会社間取引の監査について以下が指摘されている。
母集団の完全性
クライアント提供の関連会社間残高スケジュールが、本当に全ての関連会社間残高を含んでいるか検証することが期待される。各法人の総勘定元帳から関連会社間取引を抽出し、クライアントの提供資料と突合させる。
タイミング差異の検証
「タイミング差異」と説明されている項目をテストなしで受け入れることは監査の失敗である。実際にタイミング差異であるかどうかを確認する。例えば、親会社の12月の出荷記録と子会社の1月の受取記録を確認する。
含み益計算の検証
クライアント自身が含み益を計算する場合もあるし、監査人が計算する場合もある。いずれにせよ、計算に用いられた売上利益率と期末在庫数量が正確であることを確認する。
消去仕訳の完全性
関連会社間の取引の全てが消去されているか検証する。親会社の配当受取、子会社の配当支払。親会社の管理費請求収益、子会社の管理費支払費用。これらが全て消去されているか。
少数株主持分への影響
子会社の所有割合が100%でない場合、含み益の消去の一部は少数株主持分に割り当てられる。計算が正確であるか確認する。