繰延税金計算機:オランダ | ciferi
オランダの公開企業および大規模私企業は、IFRS(国際財務報告基準)を適用し、IAS 12「法人税」に従って繰延税金を認識する。中堅企業の多くはオランダ会計基準(Dutch GAAP)を適用し、IAS 12と異なる処理方法を採用している場合がある。オランダ国家経理委員会(NBA:Nederlandse...
はじめに
オランダの公開企業および大規模私企業は、IFRS(国際財務報告基準)を適用し、IAS 12「法人税」に従って繰延税金を認識する。中堅企業の多くはオランダ会計基準(Dutch GAAP)を適用し、IAS 12と異なる処理方法を採用している場合がある。オランダ国家経理委員会(NBA:Nederlandse Beroepsorganisatie van Accountants)が監査基準の設定機関であり、オランダの監査人はNV COS(オランダの監査・保証基準)を適用する。これはISA(国際監査基準)を採択したものだが、オランダ特有の規制要件が加えられている。
オランダの法人所得税率(vennootschapsbelasting)は現在、利益が€200,000を超える場合19%、それ以下の場合は15%である。ただしこの率は2024年に段階的に変更予定であり、IAS 12.47に基づき、税務上の一時差異が消滅するときに適用される税率を使用する。オランダ企業の多くは欧州連合(EU)に所在し、親会社がEU圏外にある場合は、BEPS対策税制(利子控除制限指令やDACT指令など)の影響を受ける。この複雑さが、オランダの監査人が繰延税金計算で最も頻繁に遭遇する課題である。
オランダの税務環境と繰延税金
税率と計算基礎
オランダの標準法人税率は19%である。ただし利益が€200,000以下の場合、段階的に低い率が適用される。IAS 12.47は、一時差異が消滅するときに適用される税率で測定することを求めている。つまり、企業が将来において異なる税率に該当すると予想される場合は、その将来税率を適用する。多くのオランダ企業は利益が€200,000を上回ると予想しているため、19%の税率を使用する。
消費税(BTW:Belastingover de Toegevoegde Waarde)は10%である。これはIAS 12に影響しないが、法人所得税計算の基礎となる利益の計算で考慮される。オランダの企業は、海外子会社に対して親会社税制(親子会社の配当免税制度)を受ける場合があり、これが繰延税金資産または負債の認識に影響する。
臨時的な差異の主要な源泉
オランダ企業における一時差異は、次の項目から生じることが多い。
固定資産:オランダの税法では減価償却の方法が会計基準と異なることがある。加速度的償却(versnelde afschrijving)を選択する企業が多く、これが一時差異を生む。IFRS(監基報において国際基準に準拠)では耐用年数に基づく直線法が標準となることが多いため、初期年度で大きなマイナスの一時差異が生じる。
引当金:IAS 37「引当金」に基づく引当金(例:訴訟リスク、構造改革引当金)は、税務上で控除可能になるまでは差異が生じる。訴訟引当金は判決が確定するまで税務控除が認められず、構造改革引当金は支出実行時点で初めて控除可能となる。
リース:IFRS 16「リース」の適用後、使用権資産とリース債務が生じ、これらは別個の一時差異を生む。2021年のIAS 12改正により、初認識時の適用除外(IAS 12.15)がリースおよび原状回復義務から削除されたため、企業は初日から繰延税金を認識する必要がある。
在庫評価:低価法により評価減された在庫は、税務上の基礎とのズレが生じる可能性がある。特に陳腐化リスクが高い製造業では、IAS 12.24に基づいて回収可能性の評価が必要となる。
オランダの規制環境
オランダは金融監視庁(AFM:Autoriteit Financiële Markten)がIFRS適用企業の財務報告を監督する。AFMは定期的に検査を実施し、繰延税金計算の誤りを識別している。国際的な検査結果(International inspection findings)から、繰延税金資産の回収可能性評価、一時差異の網羅性、税率の再測定が最も頻繁に指摘される項目である。
オランダの監査人はNV COS基準に従う。これはISAを採択したものだが、オランダ特有の要件がある。NBA(オランダ公認会計士協会)は監査品質ガイダンスを発行し、繰延税金の監査に関する指針を示している。
計算機の使用方法
本計算機は、各貸借対照表項目について、帳簿価額と税務上の基礎を入力することで、繰延税金資産または負債を自動計算する。以下のステップに従う。
ステップ1:一時差異の識別
貸借対照表の各項目について、帳簿価額と税務上の基礎を比較する。IAS 12.5によれば、一時差異とは帳簿価額と税務上の基礎の差額である。以下の項目は常に確認すべき候補である。
ステップ2:税率の入力
オランダの適用税率を入力する。標準的には19%であるが、企業が将来において異なる税率に該当すると予想される場合は、その税率を使用する。複数の法域で事業を営む場合は、各法域の税率を適用する。
ステップ3:計算結果の検証
計算機は、課税一時差異(繰延税金負債を生じる)と控除可能一時差異(繰延税金資産を生じる)を区別する。控除可能一時差異に対する繰延税金資産は、IAS 12.24に基づいて回収可能性の評価が必要である。
ステップ4:開示と監査調書への転記
計算結果は、IAS 12.79以降の開示要件に対応する形式で出力される。税率調整表(tax rate reconciliation)は、IAS 12.81(c)で要求されている。計算機の出力を監査調書に転記する際には、各一時差異の根拠を文書化すること。
- 固定資産(減価償却方法の相違)
- 引当金(税務控除の遅延)
- リース(IFRS 16適用後)
- 在庫評価減
- 繰越欠損金(存在する場合)